2020年第4回定例会
代表質問
お寄せいただいた声をとりあげました
12月3日
◆土屋のりこ 議員 足立区議会議会改革を全力で推し進める会を代表し、質問を行います。
まず、持続可能な区政の在り方について。
新型コロナのパンデミックは、存在しながらも周辺化されていた危機をはっきり社会に可視化させました。深刻な格差・貧困問題を浮き彫りにし、行き過ぎたグローバル資本主義が私たちの生存条件を掘り崩している姿を露呈させました。
今回のパンデミックを契機に、自然との調和、社会的弱者やエッセンシャルワーカーの安全・健康の重視、最良の公共サービス、公的投資、地域のレジリエンス強化など、危機に際し、効果的な回復の基礎となる施策へ力を入れることが、持続可能な区政の在り方であり、地域づくりになると考えます。
1、公的な管理について。
食と地域の農業、医療、防災がとりわけ重要です。これらを自由化に依存することの脆弱性が明らかになった事例があります。
イギリスでは、新型コロナのパンデミック危機下で公的医療機関のサプライチェーン供給が滞り、200人もの医療従事者の感染死を招きました。個人用防護具があれば避けられた死も多かったといいます。
その原因は、医療資材・機器の調達部門を民営化し、病院が独自に行っていた購入を効率化の名の下、一括管理としてしまったこと、契約が細分化されアウトソースされたことにより、社会危機下において調整や指示が機能しなかったことにあります。
人の健康と命に関わる分野に企業の論理を持込み、効率化の名の下、集権的運営を行う「節約・削減、企業利益追求」ではなく、命と安全を第一としなければなりません。
危機が起きた場合にも対応できる、公の在り方を目指していくべきと考えます。区政運営に当たっては、区の業務について委託ありきではなく、公的な管理・民主的な運営を徹底してほしいと思うが、区長の見解はどうか。
2、労働者協同組合法を活用した地域づくりについて。
全党・全会派の賛同による議員立法で提出されている「労働者協同組合法案」が今臨時国会において成立の見通しです。労働者協同組合法とは、市民・労働者自らが資金を持ち寄り、地域に必要とされる仕事を起こし、自らが労働の主人公となっていくための制度をつくる法律です。
急激な人口減少と超高齢化の中にあり、地域に必要な仕事の担い手不足が指摘されます。労働者協同組合は、遊休農地の利活用や子どもの貧困問題、高齢者の日常生活支援、自然エネルギー普及等、様々な課題に取り組むことと仕事起こしを結び、持続可能な地域をつくることを目指します。
例えば、足立区において後継者不足に悩む農業者や地場産業などの事業継承を協働労働で解決する、また利潤追求にそぐわない公的分野の事業委託は、非営利組織である協働労働との親和性が高いです。
区としても積極的に協働労働について知見を深め、区内労働者協同組合の話を聞く場を設け、新たな可能性を探るなど、持続可能な地域づくりを目指すパートナーとして位置付けてほしいと思うが区長の見解を伺います。
3、福祉的社会インフラの整備について。
この1年で足立区内のフードパントリー数は飛躍的に増え、3か所程度だったものが現在12か所で運営されていると聞きます。フードパントリー等を地域のインフラ資源に、区としても位置付けてはどうか。
自主的に組織された団体として町会がありますが、区は毎年補助により運営を支えることで、災害時の共助・助け合いや支え合いなど、地域における様々な問題解決が図られています。
パントリー等についても同様です。経済的困難に陥ったとき、良質な食料を確保でき、心身の健康を支援する場所が地域にあることで、暮らしの安心が担保されます。ひとり親が安心して利用できるところ、高齢者や障がい者も利用できるところ、宅配に特化したものなど多様な形式のパントリーが広く地域に誕生したことは、セーフティーネットを強化する区の財産です。
フードパントリー等は、子どもの貧困対策の側面から始まったものですが、現在の発展状況を踏まえ、福祉的側面から地域のインフラとして位置付けるべきと考えるが、区長の見解はどうか。
次に、性の多様性に関する施策に関してです。
この間の迅速な区の対応に、セクシャルマイノリティー当事者やアライからは、「誠実に要望を受け止めてくれていると感じる」「すごいです」「この機に一斉に動いた物事で胸熱」と、喜びの声が語られています。
併せて、先行自治体における課題を克服し、より自己実現を果たせる制度づくりへ要望も寄せられており、可能なところから検討をお願いしたいと思います。
災害避難時、避難所で同性パートナーの所在を確認しようとしたところ、親族でないことを理由に情報提供を拒まれたことが他自治体でありました。通常窓口対応に加え、災害緊急時等、あらゆる場面での区民対応について統一した対応指針が必要と考えます。文京区のつくっているものが参考になると聞きます。
足立区でも、職員・教職員・関係者のための性自認及び性的指向に関する対応指針を策定してほしいがどうか。併せて、窓口での配慮や性自認に配慮した公共施設利用が可能となるよう、関係部署へ周知徹底を図ってほしいがどうか。
平成28年4月、文部科学省が出した「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」において、性自認・性的指向が非典型の子どもたちへの配慮が明記されています。性自認や性的指向は、自らの意思で変えられるものではないことを認識し、学校において、子どもの個別性を受容し対応することや個が尊重されることを教えることは重要です。
区政に従事する職員・教職員等が、性自認や性的指向が多様である知識がないことによって人権侵害になる言動を取ることがないよう、保育施設、住区センター、学童保育、図書館など区の施設に勤める者や、民生委員・児童委員、PTAや放課後子ども教室等のスタッフなど、子どもたちに接する全ての行政サービスに関係する人々にも通知や指針等の周知徹底を図り、理解を促進してほしいがどうか。
12月1日より、LGBT相談窓口がスタートしましたが、内容によっては区内各機関とも連携が図られていくかと思います。トランスジェンダーの方から就職差別の相談が多く寄せられていますが、足立区内のハローワークで就職相談の個別案件対応が可能といいます。必要な場合は連携できるよう、ハローワーク等各機関とも連携協議を行ってほしいがどうか。
パートナーシップ制度の導入が予定されており、多様性を反映できる制度としてほしいという要望が寄せられています。
婚姻の届出と同じにしてほしいとの求めがあります。婚姻においては、別居婚も可能となっています。同性カップルは一緒に住めないことも多く、パートナーシップ宣誓に当たって同一住所地での居住を要件としないでほしいがどうか。
受理や証書発行など窓口での対応に当たって、カミングアウトしていないカップルへの対応にも気を配ってほしいと思います。個別ブースやパーティションで対応するなど配慮をお願いしたいがどうか。
制度を同性に限ると、それ自体が踏み絵となり、カミングアウトしていないカップルは利用しづらくなると言います。社会の進んでいる方向性を見定め、同性に限らず利用可能な制度としてほしいがどうか。
社会状況の変化や当事者の声などを踏まえ、つくった後も年々見直しを図り、実態に即した制度として発展させてほしいがどうか。
パートナーシップ宣誓制度を既に導入した自治体間では、都市間連携の動きが生まれています。住所を異動した後も宣誓が継続されることで、利用者の精神的負担の軽減・煩雑な手続の簡略化を図ることができます。神奈川県下、また九州地方で都市間連携が始まっています。都下では、9区市において宣誓制度がありますが、そういった自治体から当区への転入を検討する人もいることを踏まえ、都市間連携の協定を近隣自治体と結んでほしいと思うがどうか。
生殖補助医療で生まれた子どもの親子関係を明確化する「生殖補助医療法案」が今国会で成立の見通しです。委員会質疑では、同性カップルや未婚のシングルも法律上制限されないことが明らかになりました。生殖医療をめぐる法的環境整備が大きく進展しています。
当区でも、特定不妊治療費助成の区独自の上乗せを開始していますが、助成の対象に同性パートナーや未婚者についても加えるなど、条件緩和の可能性や方策を検討してほしいがどうか。
3点目、2050ゼロカーボンシティについてです。
2050年までに二酸化炭素排出量の正味ゼロを宣言する方向で、当区でも検討されていると聞きます。
これまでの施策や環境基本計画においては、低炭素社会を目指すとされてきましたが、低炭素社会とは、CO2の排出を自然が吸収できる量以内に最小化するカーボン・ニュートラルの状態を目指すものであり、化石燃料に依存している文明の在り方を見直し、低炭素化の努力を続けていった究極の姿が脱炭素社会です。
パリ協定で、今世紀後半の脱炭素化が必要と指摘され、国においても脱炭素社会の実現に向けた取組をと言われています。先人が築き上げてきた生活や文化を存続させるために、未来に対する責任を果たしていくことが大切です。
当区でのゼロ宣言に際し、脱炭素社会を目指すと明示してはどうか。
2050年正味ゼロを達成するには、どういう社会変化が必要か、オール足立で認識を共有し、目標達成に向けて取り組んでいきたいと思います。
京都市では、エネルギー源の分散化、エネルギー使用の集約化、化石燃料を燃やさないなどの新たな考え方を取り入れ、家庭部門・業務部門でゼロ、産業部門で91から92%削減、運輸部門で90%削減など、全体で95%のCO2を削減するシナリオが市民との協働でつくられています。
家庭部門では、住宅のエネルギー収支をゼロにする、単身世帯が共同で生活できる地域コミュニティーの在り方、ごみの出ない暮らしが提起されています。事業活動では、リデュース・リユースを中心とし、エネルギー消費の大きいリサイクルは縮小、地産地消の浸透による物流の短距離化・集約化、公共サービスにおいては、公共的な空間におけるエネルギーを使わず吸収源にもなるような自然環境の保全など、あらゆる可能性を追求し、網羅的な対策を実施していくとされています。
ゴールが決まっているのであれば早期に動き出したほうが有利であり、カーボンゼロ・脱炭素の実現は、これまでのような小まめな節電・省エネなどの延長では不十分ではないかと思います。
ゼロ宣言を実効力あるものとするため、どうすれば正味ゼロとなるか、まず足立区版ゼロシナリオを作成してほしいがどうか。カーボンゼロを目指していく脱炭素社会のシナリオにおいて、原発に依存することなく、再生可能エネルギーの利用促進を打ち出すべきと考えるが区の見解はどうか。
4点目、子どもの貧困対策と食の支援について伺います。
区内での子ども食堂やパントリーの発展に合わせ、食品等の受入れや配布体制をより整備していってほしいと思います。機能的に食の循環がうまく回るような仕組みをつくることが必要です。
区民からのフードドライブ受入れは、ごみ減量推進課で対応し、賞味期限のない野菜等の寄附については区民参画推進課で受入れし、NPO活動支援センターを通して登録団体等へ配布されているのが今の仕組みかと思います。
区は食品を受け入れていることを区内事業者へ積極的に周知し、食べられるのに捨てられている農作物や食品をフードロスにすることなく、必要とする人へつなぐレスキューの仕組みづくりを強化してほしいと思うがどうか。
都の開始した子ども食堂推進事業ですが、新型コロナによる学校休校を受け、今年度は子どもの食の確保の緊急対応策として実施されています。当区でも5月より範囲が拡大され、申請も増え、区民団体やその利用者から非常に喜ばれています。引き続く新型コロナ危機の下、今なお経済的に厳しい家庭が増えており必要な事業であるため、強く継続を働きかけてほしいがどうか。
都に確認すると、補助対象経費は子ども食堂等の運営に必要な経費で、食材費も基準額があるものの対象経費に含むものと考えると回答を得ました。
当区における取扱いはどうか。
農家からJAに卸してもただ同然で、しかも廃棄されてしまう。子ども食堂やパントリーで活用してほしいと農作物提供の申出がありましたが、聞くと、キロ30円程度の価格といいます。購入するとしても5,000円程度であり、新型コロナ危機で困っている農家を支える観点からも、食品の購入に補助を活用できるよう運用を図っていることを確認したいがどうか。
新型コロナのパンデミックという逆境の中で発達した食の支援の取組を、今後も定着させることが必要と考えます。民間が主体的に運営し、協創に位置付く足立区の強みであり、区としても最小限の支援で多くの区民へ必要な支援を届けることができています。
都の補助制度の動向を見据え、必要あらば区としても子ども食堂やパントリーへの支援を検討すべきと考えるがどうか。
支援してもらっているセカンドハーベストをはじめとするフードバンクを区はもっと大切にしてほしいと感じます。専門性や力のあるフードバンクの協力があり、区内で急速に広まったフードパントリー活動が支えられています。地方でのパントリー立ち上げに関わりましたが、食品の供給量、種類、安定性において格段の差があります。パントリーを立ち上げても数か月でやめてしまう事例が多いと聞きましたが、原因は食品の安定供給を受けられる体制があるかどうかです。
区内パントリーを支えているフードバンクに区としても感謝の意を伝えるべきではないかと思うがどうか。
また、活動を支える手だてがないものかと問います。
5点目に、尊厳ある介護の保障について問います。
現在、当区では、発熱者と陽性者が出た場合には公費でPCR検査を受けられる体制が取られてきましたが、冬期の感染拡大を受け、もう一歩検査体制を進めてほしいと求めがあります。
陽性者が出てから検査を順番に行っていては、事業にも影響が出ます。とりわけ介護事業所において、感染急速拡大期の間、一定の頻度で定期的な検査を受けられるよう緊急的な対策を検討してほしいがどうか。
第8期介護保険事業計画の中間報告に対する公聴会やパブコメが行われましたが、どのような意見が寄せられたか。また、区民の意見をしっかり反映してほしいがどうか。
地域訪問で介護保険料の値上げ案が示されたがどうか意見を聞くと、「無理」「値上げには反対」と切実な声が寄せられました。決算特別委員会で、保険料の減免三原則に反せず区民負担を軽減できる政策として、介護保険料負担軽減給付金制度の創設を求めましたが、区からは、「制度をある意味打ち崩すため慎重な議論をしてからでないと踏み切れない」と答弁されました。是非、議論を加速させたいと考えます。制度ありきではなく、足立区に住む区民の実態、声をしっかり反映させた政策判断をしてほしいと思います。介護保険は逆進性が強いことを指摘しました。例えば、より低所得者の負担を軽減できる負担軽減給付金制度として設計してはどうか。一律給付ではなく、申請制度とするなど、所得・年齢制限等、より困っている人が救済される制度設計とすれば、全体的な介護保険制度を壊すことにはならず、かつ困っている人に手を差し伸べられます。
介護保険制度は、毎期、値上げありきで9期、10期を見通すことも困難であり、既に崩壊していると言わざるを得ません。横並びに固執し、目の前の区民を見捨てることになってはなりません。
8期において介護保険料を値上げするのであれば、区の事業として介護保険料負担軽減給付を試験的に施行してほしいがどうか。
10月22日、介護保険法施行規則の一部を改正する省令が公布されました。地域支援事業対象者の弾力化として、来年4月から、要支援者が要介護に重度化しても、本人が希望し区が認めた場合は継続して総合事業の訪問・通所型サービスが利用できることとなります。
介護事業者からは、要介護者の介護保険外しに道を開くと懸念されています。11月4日に行った厚生労働省要請では、既に要介護となっている人を総合事業へ追いやるものではないこと、指定介護事業所で地域支援総合事業を行っている場合は、弾力化の対象外との回答を受けました。
当区での運用はどうなるか。要介護1から2の人は、ただでさえサービスを切り刻まれてきました。負担あってサービスなしにしてはなりません。極力、弾力化は行わず、弾力化対象になる人には当事者・家族の希望に沿って対応を行ってほしいがどうか。
6点目、羽田空港の低空飛行・新飛行ルート問題についてです。
葛飾区では、航空機の飛行ルートが当初予定の荒川上空よりも葛飾区内へ入り込むことによる騒音被害が大きく、国土交通省へ報告等対応を求めていると聞きます。飛行ルートの計画と実際では違いが出てきています。
当区では、区民が代表電話に問い合わせると、交換担当は国土交通省航空局を案内するそうですが、区が区民の声に向き合わない姿勢は無責任ではないか。きちんと担当部署を決め、案内してほしいと思います。
当区でも、区民からの苦情を受け、騒音測定が行われるとのことだが、状況はどうか。
騒音は、不快感という心理的な影響だけでなく、生理的影響として睡眠障がい、心疾患、胎児の発育阻害などが指摘されます。不動産価値の低下にもなります。
第2回定例会での質問に対し、区は、「国からは新飛行経路移行後の区内の航空機騒音は騒音の基準を満たしていると説明を受けている」と答弁されましたが、その基準自体に疑問があります。
日本の騒音の環境基準は、世界と比べて甘いと専門家から指摘があります。騒音を測る基準値は音のうるささを表すもので、また、あくまでも時間帯平均値であり、50年前に定められたまま新たな科学的知見が反映されずに基準値とされているなど、課題のあるものです。
国の基準を満たしているから安心とは言い切れません。また、実際はどこを飛んでいて、騒音はどうなのか、苦情が寄せられている地域へも騒音測定を広げてほしいがどうか。寄せられる苦情は氷山の一角でしかありません。飛行コースに近い地域で住民アンケートを行い、生活への影響など実態把握に努めていただきたいがどうか。
7点目、子ども預かり・送迎支援事業の改善についてです。
決算特別委員会でも、制度設計に課題があることを指摘しました。事業の運営に固定費を必要とする事業者が、事業を継続できない仕組みとなってしまっていることは問題だと考えます。
区は、月ぎめ利用をなくしたときに幾つかの事業者が撤退したと言いますが、そもそも固定費が掛かることを前提としない仕組みが、度重なる事業者の撤退を招いている根本原因です。固定費への支援を行う仕組みへと制度改善を求めるがどうか。
区は、事業の需要について評価をされていないようですが、千住地域でのニーズは高く、新しいサポーターが登録するとすぐに利用希望が入るといいます。「潜在需要は高いが、対応するサポーターが少ない」と現場から指摘されます。
サポーター登録の拡大に力を入れてほしいと繰り返し求められているが、区はなぜ対応しないのか。改善すべきと思うが今後の方針について伺います。
以上、区民の皆さんからの声に対し、誠実な答弁をお願いいたします。
◎近藤やよい 区長 土屋のりこ議員の代表質問のうち、私からは、区の業務について委託ありきではなく、公的な管理・民主的な運営を徹底してほしいとの御質問にお答えをいたします。
区の業務は必ずしも、業務委託ありきとは考えておりませんが、持続可能な区政に有効な一つの手法というふうには考えております。
御質問の中で、今回のコロナ禍を契機に、危機に際し効果的な回復の基礎となるような施策に力を入れるということが持続可能な区政の在り方として必要ではないかという御指摘がございました。
正直申し上げて、今現在は目の前の対策に庁内を挙げている状況ではございますけれども、このコロナ禍というものを経験したからこそやはり重要な視点、これから施策に軸足をどこに置いていくかという考え方についても、おのずとまた新しい考え方が出るのではないかということは、私も土屋議員と同じような考え方でございます。議会や様々な立場の方に御意見も伺いながら、コロナ禍を経験したからこそ区政の在り方、今後の区政の在り方という視点も令和3年、4年、5年と未来に向かって大切にしていきたいと考えております。
他の御質問につきましては、参与より答弁させていただきます。
◎勝田実 政策経営部長 私からは、初めに、足立区としても協働労働について知見を深め、区内労働者協同組合の話を聞く場を設け新たな可能性を探るなど、持続可能な地域づくりを目指すパートナーとして位置付けてほしいとの御質問についてお答えいたします。
労働者協同組合は、営利を目的としない団体であり、また、現在、区としても学童クラブの指定管理者や子育てサロン事業の事業委託先としてワーカーズコープを活用していることから、公的分野の事業を担っていただける存在であると認識しております。
今回、労働者協同組合法の成立により同組合の事業範囲や位置付けが定まることから、区としても労働者協同組合を活用して行うことのできる事業の可能性について、労働者協同組合法の趣旨や労働者協同組合側の体制等を勘案して検討してまいります。検討に際しましては、必要に応じて同組合と協議の場を設定してまいります。
次にフードパントリー等を福祉的側面から地域のインフラとして位置付けるべきとの御質問についてお答えいたします。
フードパントリーは、区民の共助により運営されている強力なセーフティーネットと認識しており、地域のインフラとして位置付け、継続的な支援を行ってまいります。
次に、フードバンクに、感謝の意を伝えるべき、また、活動を支える手だてがないものかとの御質問についてお答えいたします。
区では、生活困窮者支援に当たり、くらしとしごとの相談センターを通じ、フードバンクとの連携を図るだけでなく、常々感謝の意を伝えております。また、フードバンクの活動を支援するために、食の支援団体に食材の提供がフードバンクからのものであることを公表してもらい、フードバンクへの寄附が広く集まるように努めております。
◎真鍋兼 総務部長 私からは、性の多様性に関する施策のうち、職員・教職員・関係者のための性自認及び性的指向に関する対応指針策定に関する御質問にお答えいたします。
御提案の対応指針につきましては、職員や教職員等が当事者への適切な配慮について理解を深められるよう、他自治体の指針も参考にしながら、令和2年度中の策定に向けて作業を進めております。
次に、窓口での配慮や性自認に配慮した公共施設利用が可能となるよう、関係部署への周知徹底についてお答えいたします。
策定中の対応指針につきましては、LGBTに関する基礎知識と窓口職場や小・中学校等で起こり得る対応事例を盛り込んだ内容としておりますので、関係部署に周知してまいります。
次に、子どもたちに接する全ての行政サービスに関係する人々への通知や指針等の周知徹底による理解の促進に関する御質問にお答えいたします。
対応指針の策定が終わりましたら、職員等に対する研修を活用するとともに、区内公共施設や民生委員・児童委員、PTAや放課後子ども教室等のスタッフなどにも所管を通じて周知してまいります。
◎秋生修一郎 地域のちから推進部長 私からは、まず、LGBT相談窓口のハローワーク等各機関との連携についてお答えいたします。
12月よりスタートいたしましたLGBT相談窓口では、相談員が就職相談など仕事における悩みも含めて、御相談をお受けしていく予定ですので、必要に応じて、ハローワーク等関係機関と連携をして対応してまいります。
次に、パートナーシップ制度の運用に関する一連の御質問に一括してお答えいたします。
まず、パートナーシップ宣誓に当たって、同一所在地での居住を要件としないこと、同性に限らず利用可能な制度としてほしいという御質問にお答えいたします。
パートナーシップ制度における対象の要件につきましては、先行自治体の状況を踏まえ、住所要件や同性に限らず認めるかなど、個々の要件について十分に精査を行いながら、多様性を反映できる制度となるよう検討してまいります。
次に、証明書発行の際に個別ブースやパーティションで対応するなど、配慮をお願いしたいがどうかという御質問にお答えいたします。
区では、パートナーシップ宣誓や証明書等の発行の際に、個別ブースやパーティションなど、宣誓される方へ配慮した対応ができるように準備をしてまいります。
次に、パートナーシップ制度を実態に即した制度として発展させてほしいがどうかという御質問にお答えいたします。
区では、社会情勢の変化に対し、より柔軟に対応することができるよう、要綱によるパートナーシップ制度の導入を進めております。制度実施後におきまして、社会状況の変化や当事者の声などを踏まえ、実態に即した制度として発展させてまいります。
次に、パートナーシップ宣誓の都市間連携についてお答えいたします。
パートナーシップ宣誓の都市間連携については、各自治体により、パートナーシップ制度の要件が異なりますので、課題を整理し、連携を模索してまいります。
◎馬場優子 衛生部長 私からは、不妊治療費助成の拡充についてお答えいたします。
現在、助成制度につきましては、東京都特定不妊治療費助成事業の承認決定を受けた方を対象としているため、夫婦間体外受精でない第三者提供による治療については対象外となっております。
区としては、適切な医療を受ける機会を全国で均等に享受できるようにするため、同性パートナーや未婚者についても、夫婦間体外受精でない第三者提供による治療を保険適用に加えるなどの拡大をするように国に要望するとともに、区としての条件緩和の可能性や方策について検討してまいります。
◎川口弘 環境部長 私からは、2050ゼロカーボンシティについてお答えいたします。まず、当区でのゼロ宣言に際し、脱炭素社会を目指すと明示してはどうか、との御質問ですが、脱炭素社会は、二酸化炭素排出量実質ゼロを実現する前提と認識しておりますので、当区のゼロ宣言においても脱炭素社会を目指すことを明示すべきと考えております。
次に、どうすれば正味ゼロとなるか、まず足立区版ゼロシナリオを作成してほしいとの御質問ですが、今後30年で二酸化炭素排出量を実質ゼロにするためには、社会経済の仕組みやライフスタイルを抜本的に変えなければならず、国家レベルの政策から地域レベルの取組まで、様々な対策が求められます。今後、国から示される2050年に向けた計画等を踏まえ、当区の地域特性や役割などを考慮し、足立区における二酸化炭素排出量の実質ゼロに向けた地域レベルの取組を検討してまいります。
まずは、現在、見直しを進めている環境基本計画に、目標達成に向けた長期的な道筋を盛り込んでいきたいと考えております。
次に、脱炭素社会のシナリオにおいて、原発に依存することなく、再生エネルギーの利用促進を打ち出すべきとの御質問ですが、菅総理大臣の所信表明では、再生可能エネルギーを最大限導入した上で、安全最優先で原子力政策を進めていくと述べており、今後この方向性で国のエネルギー基本計画が策定されると見られます。区といたしましては、国のエネルギー政策の下で、引き続き再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取組を進めてまいります。
次に、食の支援・循環を支える仕組みの強化についてお答えいたします。区が食品を受け入れていることを区内事業者へ積極的に周知し、食べ物を必要とする人へつなぐレスキューの仕組みづくりを強化してほしいとの御質問ですが、今後は農家を含む区内事業者に対して、より積極的に未利用食品の受入窓口を周知するとともに、フードシェアリングサービス「TABETE」を紹介するなど、フードロスの削減に取り組んでまいります。
◎鳥山高章 子どもの貧困対策担当部長 私からは、子どもの貧困対策と食の支援についての御質問のうち、初めに、子ども食堂推進事業の継続を都へ働きかけてほしいとの御質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、家計が急変するなど、厳しい状況に置かれたひとり親家庭などが増えており、子ども食堂団体等によるお弁当や食材の配布など、活動が広がっております。新型コロナウイルス感染症の収束が見えないことから、東京都へ継続して実施するよう要望してまいります。
次に、子どもの食の確保緊急対応事業の補助対象経費に食材費を含むのかどうかの御質問について一括してお答えいたします。
足立区子どもの食の確保緊急対応事業では、東京都の子どもの食の確保緊急対応策に準じ、食品の購入も補助対象としております。
補助金の対象経費については、個別に申請団体からの相談を受け付けるとともに、改めて周知してまいります。
次に、子ども食堂やパントリーへの支援についてお答えいたします。
令和2年度は、子どもの食の確保緊急対応事業補助金により、子ども食堂やパントリーに対する補助事業を実施してまいりましたが、令和3年度以降につきましては、子ども食堂やパントリーに対する事業継続に係る補助制度について検討しております。また、東京都の動向を見据え、新たな補助制度が制定された場合には、区でも補助制度について検討してまいります。
◎中村明慶 福祉部長 私からは、初めに、尊厳ある介護の保障に関する御質問のうち、新型コロナ対策・PCR検査の拡充についてお答えいたします。
まず、介護事業所において、感染急速拡大期の間、一定の頻度で定期的な検査を受けられるよう緊急的な対策を検討すべきについてですが、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、介護現場の不安を少しでも軽減するため、区内の高齢者施設等の職員や新規利用者等に対して、令和2年12月から翌年3月までの間、1人1回に限り行政検査以外の積極的なPCR検査を実施することとし、本定例会の補正予算に計上いたしました。
次に、第8期介護保険事業計画の中間報告に対する公聴会やパブリックコメントが行われたが、どのような意見が寄せられたかについてですが、介護保険料を値上げしないでほしい、国の負担をもっと増やすよう要望してほしい、元気なうちに素人にでもできる介護の知識を普及してほしいなどの御意見が寄せられました。また、区民の意見をしっかり反映してほしいがどうかについてですが、区民の皆様から様々な御意見をいただきましたので、より適正な保険料となるよう、引き続き精査するとともに、高齢者が安心して暮らすことができるような計画を策定してまいります。
次に、第8期において介護保険料を値上げするのであれば、区の事業として介護保険料負担軽減給付を試験的に施行してほしいがどうかについてですが、区では、低所得の方を対象とした介護保険料軽減制度や、新型コロナウイルスの影響により収入が減少し生活が苦しい方に対する介護保険料の減免制度等、個別事情に応じた軽減策を行っているため、介護保険料負担軽減給付金の導入は考えておりません。
次に、介護保険法施行規則を改正する省令の対応についてお答えします。
改正の趣旨につきましては、総合事業の利用対象者を、地域とのつながりを継続する観点から、介護保険の給付が受けられることを前提に、本人の希望を踏まえて要介護認定者まで拡大する弾力化を行うものとされております。
区におきましても、当事者・御家族の御希望を踏まえ作成したケアプランに基づき、この規則改正の趣旨に沿った適切な運用を行ってまいります。
◎大山日出夫 都市建設部長 私からは、羽田空港の新飛行ルートに係る騒音測定の状況と、その騒音測定地域の拡大及び地域住民に対するアンケートの実施に関する御質問についてお答えいたします。
まず、騒音測定ですが、国土交通省が青井小学校の屋上に騒音測定機器を設置し、12月17日から23日の7日間実施を予定しております。
なお、測定結果につきましては、国土交通省から報告があり次第、改めて区民の皆様や、議会に対して報告させていただきます。
次に、騒音測定地域の拡大の御要望につきましては、青井小学校での測定結果を踏まえた上で、更なる測定地域の拡大について、国土交通省と協議してまいります。
また、飛行コースに近い地域住民へのアンケートの実施につきましては、国土交通省に確認いたしましたが、現在のところ実施する予定はないとのことでございました。
今後とも、騒音状況に関する測定結果を注視しつつ、国土交通省に対し必要な情報提供を求めてまいります。
◎上遠野葉子 こども支援センターげんき所長 私からは、子ども預かり・送迎支援事業の改善についての御質問のうち、まず、子ども預かり・送迎支援事業の固定費への支援についてお答えいたします。
本事業の委託契約は、事業の創生期には固定費に当たる基本分と件数当たりの実績分の合算としていましたが、その後、事業者との協議を経て現在は、固定費を含めた委託単価として設定をしております。そのため、改めて固定費への支援を行う考えはございません。
なお、幾つかの事業者が撤退した理由は、待機児童対策による保育園の増設に伴い、子どもの一時的な預かりの需要が減少したことによると考えております。
次に、サポーターの拡大に向けた今後の対応方針についてお答えいたします。
これまでも、子ども預かり・送迎支援事業のサポーター養成講座とファミリー・サポート・センター事業の提供会員登録時短期研修を一部合同して行うことで、登録者数拡大を進めてきました。
また、昨年度は新たに養成講座のチラシを作り、公共施設で配布するなど取り組んできたところです。
今後は、チラシの配布とともに、SNSを活用するなど、より効果的な周知方法を模索しながらサポーターの拡大を図ってまいります。
◆土屋のりこ 議員 3点再質問させていただきたいと思います。
1つ目が、フードバンクに関してなのですけれども、感謝の意を伝えるべきではないかと言ったのですが、伝えていますということだったのですけど、伝わっていないと思うから聞いています。もう一度決意のほどお願いしたいと思います。
2点目が、足立区版ゼロシナリオを作成してほしいがどうか、ゼロカーボンシティのところですけれども、基本計画に長期的視点を盛り込んでいくということだったのですけれども、シナリオ、つまりプロセスです。どうやってゼロに到達するのかというプロセスシナリオを明示してほしいということを聞いています。そのことについて、明快な答弁をお願いしたいと思います。
3点目が、騒音測定なのですけれども、国土交通省がどうかということで国土交通省はアンケートをする気がないということを答弁されましたが、区としてやってほしい、どうかということを聞いていまので、区としてどうかということを再答弁お願いします。
◎勝田実 政策経営部長 土屋のりこ議員の再質問のうち、フードバンクへの感謝の意を伝えることについて、再度答弁させいただきます。
改めまして、常々感謝の意を伝えているつもりでありましたが、それがきちんと伝わっていないようであれば、また改めてきちんと感謝の意を伝えていきたいと考えております。
◎川口弘 環境部長 ゼロシナリオに関する御質問でした。
私どもとしては、先ほども申し上げた長期的な道筋を盛り込むという行為そのものが、プロセスシナリオという意味と同様であるというふうに解釈をしております。土屋議員の御指摘のとおりだと思いますので、そういった視点で環境基本計画の方に改定に取り組んでまいりたいというふうに思います。
◎大山日出夫 都市建設部長 騒音測定についてでございますけども、青井小学校での測定結果を確認はさせていただきますけれども、現段階で区として騒音測定をする考えはございません。