top of page
2021第2_代表質問2_edited_edited.jpg

2021年第2回定例会
代表質問

お寄せいただいた声をとりあげました

6月23日

◆土屋のりこ 議員  議会改革を全力で推し進める会を代表して質問を行います。


 1点目、区民の雇用を守る区政の在り方について。
 五輪やワクチン業務委託等の間接業務を担うBPOにより、コロナ禍で史上最高利益を上げるパソナに関する話題がマスメディアで取り沙汰されています。
 6月17日付週刊誌「五輪、ワクチンで笑う竹中平蔵 パソナ徹底調査」と題する記事では、足立区のワクチン接種事業もやり玉に上げられ、足立区発注額28億円が最高額といいます。目黒区では8億円で委託され、区からパソナ、パソナからJTB関連会社、更にTCAへ再委託、再々委託、派遣が繰り返されており、受注能力を超えて企業が委託を受けているのではないか、委託先が増えることで経費が増えることなどが問題と指摘されます。
 BPOは利益率が高く、パブリックセクターが営利企業の収益源とされる構造に他ならず、自治体業務の運営手法として疑問に感じます。
 国会審議で明らかになったオリンピック事業におけるパソナのピンはね率は90%超とも言われます。組織委員会の交わした契約書では責任者クラスの日当は20万円以上なのに、パソナが募集する人材派遣は責任者クラスで時給1,650円、日当1万2,000円でしかありません。このようなもうけ主義の事業者に足立区のワクチン接種事業を委託して、区民の健康を守る行政としての責任を果たせるのか。
 区の業務委託の原資は区民の納めた税金です。それが委託企業に支払われ、企業が史上最高益を上げ、現場で働く労働者には低賃金しか支払われない仕組みを積極的に拡大するのは、公を営利企業に売り渡すことと同じです。
 今回の業務委託では、医者や看護師の手配も含めて委託でき、区にとってメリットがあると言われますが、区が直接事業を行えば間接企業に利益をピンはねされることなく、必要経費や従事者への賃金として税を生かせ、節税にもなります。区民に責任を持つ区が直接医師会や病院と話し、必要なときに体制をつくれる関係性を構築することが今後のためにも必要です。
 コロナやワクチン接種、また、災害対策等イレギュラーな業務が発生したときに、区が責任を持って公的事業を実施できるよう、必要な職員の増員、スキルアップや経験の蓄積こそ強く進めてほしいと考えますが、区長の見解はどうか。
 区民の税金を委託企業の利益とする構造から転換を図り、雇用を必要とする区民を区が直接雇うことで、区民の暮らしの安定を図る役割を果たして欲しいがどうか。


 2点目、労働者協同組合法への理解増進についてです。
 2020年12月4日、労働者協同組合法が成立し、今後2年以内に施行されることとなります。「失業なくせ」という叫びの中から生まれた労働者協同組合は、よい仕事を目指し、事業活動の実践が積み重ねられてきました。労働者協同組合という新たな法人格を持つ事業体が足立区内につくられていくことは、自治、人権、民主主義といったあるべき社会原理を取り戻していく挑戦でもあります。新たな法律を最大限地域づくりに生かすために、早急に準備に着手して欲しいと考えます。
 非営利組織である点では、協働協創に位置付き、雇用創出、事業の健全育成の観点からは、産業経済部にも関連してくると思いますが、まずは庁内横断的に労協法学習会を行ってはどうか。
 NPO法ができたときNPO法人の立上げが増えたように、法人格の移行や新規設立、労協法を利用した若者の起業等が予想されます。区としても区内団体、個人等への支援体制を準備していってほしいがどうか。
 これまでは、NPO法人格で区の指定管理や委託等を行ってきた事業者が、労働者協同組合に移行することで事業が継続できない事態とならないよう、国や都と連携し、区もしっかり対応して欲しいがどうか。


 3点目、個人情報保護なき国のデジタル化から区民を守る取組についてです。
 今国会で成立したデジタル改革関連法は、市民の人権そのものである個人情報の保護と地方自治の原則を揺るがす大きな問題があります。基本法の理念には個人情報保護の言葉さえなく、行政効率化とデータ利活用が優先事項とされ、個人の権利保護は欠落しています。
 自治事務に対し、国が統一的なやり方を強要することはできず、自治体の主体的な判断が求められます。法の施行に当たっては、地方自治の原則と自治体の実情に即して具体化が図られなければなりません。法の施行までにしっかりした調査、検討を行うべきと考え、区の見解を問います。
 1、個人情報保護3法の統合と自治体の個人情報保護制度の共通ルールについてですが、個人情報事務は、自治体固有の自治事務であり、国による共通ルール化の強要はできないと考えるがどうか。
 個人情報保護に、自治体が責任を持つものとして規定されている足立区個人情報保護条例の外部結合禁止の規定を廃止または規制緩和するべきではないと考えるがどうか。
 行政機関等が保有する個人情報を匿名加工した上で利活用する提案を民間事業者から募り提供する制度の導入が都道府県と政令市に義務付けられました。今後、市区町村にも導入を広げる方向と言われており、そうなればこれまで当区が個人情報として保護してきた情報も個人情報として取り扱われなくなり、本人の同意なく民間企業等に提供しなければならないことになります。しかし、個人情報の利活用最優先のやり方を無批判に受け入れることは、これまでの当区の区民の個人情報保護の努力を無に帰すことにつながります。当区として、しっかりした検討と判断が必要と考えるが、区の見解はどうか。
 2、自治体業務システムの統一・標準化の義務化についてです。
 自治体業務システム統一の対象となる17業務は、区民税、国民健康保険、介護保険、児童手当、生活保護など、区民が生まれてから亡くなるまでの市区町村が提供する住民サービス業務の多くが含まれます。
 国の標準システムの利用により、もし自治体独自の措置ができなければ、必然的に法律に明記された必要最低限の住民サービスのみがシステム化され、現在行われている地域の実情、住民要求に沿った施策は切り捨てられる恐れがあります。現在、足立区が行っている独自の住民サービスは今後も維持できるのか。
 これら17業務について、国による自治体業務標準システムを当区は義務として利用しなければならないのか。
 平井デジタル改革担当大臣は「基本的には義務だと思っている」と述べますが、法案採決に当たっての附帯決議では「地方公共団体の利用する情報システムは、地方公共団体が構築することが基本」とうたわれており、当然、利用するか否かは、国と自治体の調整を踏まえて、最終的には自治体の判断によると思いますが、見解を伺います。
 政府は、システムの機能に自治体が一定の改変や追加を行うことを可能とするとしていますが、一方で、原則としてカスタマイズ禁止の方針は撤回していないと聞きます。果たして自治体独自の措置は可能と考えるかどうか。
 自治体業務システムの統一・標準化が施行されても、自治体の実情に応じた独自施策が継続できるよう、システム面、予算面の担保を国に求めていくべきと考えるがどうか。
 3、自己情報のコントロール権等個人情報保護の権利を保障する仕組みについてです。
 日本のデジタル化が遅れているのは、政府の怠慢もありますが、森友・加計学園問題に見られるように、権力者が都合の悪い情報を廃棄したり隠す一方で、国民の自己情報コントロール権を認めないなど、個人情報の扱い、保護に関し不信感があるからです。
 今後のデジタル化の進展に伴い、最も必要なことは、EU一般データ保護規則のように、データ主体である個人の権利を基本的な権利として位置付け、アクセス権、訂正の権利、消去の権利等、データ主体の権利をこそ定めることです。
 国の個人情報保護法制に対し、個人情報のコントロール権など憲法13条に基づく個人データ保護の権利を保障する仕組みをつくることを強く要請すべきと考えるがどうか。
 足立区の個人情報保護条例を改正し、その仕組みをつくるべきと考えるがどうか。


 4点目、足立区LGBTガイドラインの改善についてです。
 当区においても足立区LGBTガイドラインが作成され、運用が始まりましたが、記載の内容について、当事者団体から、正確性を期し、最新の知見を取り入れるための提案が寄せられています。
 例えば、ガイドライン3ページ、「性の多様性に関する基礎知識」の「性の4要素とは」の1番に「法律上の性」とありますが、戸籍の性別変更をした人にとっては矛盾が生じることから「出生登録時の性」に修正してはどうかと指摘があります。
 こういった点を一つ一つ区としても考え、ガイドラインを修正していくことによって、より理解を深められると考えます。当事者の声と思いを受止め、一歩一歩よりよいものとして欲しいと思うがどうか。


 5点目、新規高層マンションとの災害協定についてです。
 千住橋戸町で、区内で最も高層かつ居住者も最大規模と言われる新規マンション計画が進んでいます。この計画に当たり、地域住民から災害時の垂直避難等災害協定を結ぶことができないか、事業者と国へ協議が持ち掛けられてきましたが、地域住民から、事業者は誠実に向き合ってくれていないと感じると訴えがあります。
 国土交通省による「マンションと地域の連携・共助による地域防災力の強化に関する研究」は、マンションと地域の連携を問題提起します。東日本大震災時「マンションの集会室が役に立った」65.1%、「エントランスロビー、ラウンジ等のスペースが役に立った」59.3%と、防災において必須機能と指摘されます。当区の集合住宅の建築及び管理に関する条例において、集会室の設置について定めがありますか、防災の視点と結んでいけないものか。
 これまでの区の答弁で「マンションにつきましては、我々としては水害時には大変有効な避難先にもなる」、本会議答弁でも「クイック退避建物事業と連携し、1か所でも多く避難できる場所を増やす」と区は述べてきました。しかし、実際に新規マンションが造られるときに、垂直避難について理解が得られないケースが多いなら、具体的な対策を講じることが必要ではないか。
 災害において共助が大切と言われる中、新規建設される高層マンションが共助の輪から抜け落ちていくことは好ましくないと思います。区内新築マンションとの災害協定締結事例や、品川区で高層マンション管理組合が主体的に協定締結に至った事例等、先進事例を高層マンション事業者に紹介し、地域防災への協力を区としても強力に求めてはどうか。
 地域防災力の高いマンションを評価できる仕組みをつくってはどうか。また、新築マンションに関しては、企画段階から地域防災を考慮したマンションを企画開発するよう働き掛けてはどうか。


 6点目、放課後児童支援員の処遇改善についてです。
 保育士の処遇改善については注目が高まり、平均年収2013年の309.8万円から2018年には357.9万円と上昇しました。しかし一方で、学童の職員の処遇が低いまま取り残されています。2014年の全国学童保育連絡協議会による実態調査では、週5日勤務する職員でも年収150万円未満が46.2%、300万円未満31.3%と非正規が前提で運営されている課題が指摘されました。
 2015年より放課後児童支援員等処遇改善等事業が、2017年より放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が開始されましたが、両事業とも全国で約22%程度しか実施されていません。学童従事者の処遇改善、社会的地位を向上させ、給与を支える仕組みを区独自に行えないものか。
 当区では、キャリアアップ事業は実施されていますが、処遇改善等事業は実施されていません。理由は何か。
 都内において両事業を行う自治体もあります。区内学童事業者にニーズがあるならば、当区としても検討してはどうか。
 保育士に対しては奨学金返済補助、住居借り上げ支援等に取り組まれています。学童支援員についても、区独自の支援策を検討すべきと思うが、区の見解はどうか。


 7点目、地域包括支援センターの相談受付体制の改善についてです。
 地域回りをしていると、高齢者から相談が寄せられ、地域包括支援センターにつなぐ事例があります。都バス車内では「地域で気になるお年寄りを見かけたら地域包括支援センターへ御連絡ください」とアナウンスされますが、実際に相談をすると、初期対応を断られるケースが多いと感じます。
 事例1、認知症のため都営住宅の必要書類提出に不安があるとの通報に、電話しているあなたが対応してください。事例2、同居親族による通院介助をケースワーカーが認めず困っているという通報に、生年月日が分からないから対応できない、ケースワーカーが正しい。事例3、認知症の方がワクチン予約できず困っているという通報に、うちの業務じゃない、接種予約センターに電話してくれ。つまり、3回中3回とも初期の問合せに対し、地域包括支援センターで相談を引き取って対応することを拒否されたといいます。相談対応に当たった区民の方は「バスのアナウンスはうそじゃないか」と憤っておられます。昨年も同質の質問をしましたが、問題提起として以下伺います。
 地域の見守り活動が軽視されるような業務委託の評価基準となってはないか。
 真の高齢者の総合相談窓口足り得るよう、区としても委託事業者が相談を行えるよう課題を把握し、必要あらば委託料の増額含め環境改善に当たるべきと考えるがどうか。


 8点目、緊急事態宣言下での区民対応についてです。
 区内介護事業者と区民が高齢者のワクチン接種、コロナ対策に関する要望を5月7日付、衛生部と高齢者施策推進室宛てに提出されました。しかし、「緊急事態宣言中であるため面談での対応に応じられない」と言われ、かつ、いまだ回答は区民へ送付されていないと聞きます。
 緊急事態宣言中であった同時期、災害対策課では、区民要望に対し、5月21日、対面での面談が行われました。介護保険課介護認定係においても、区内事業者と面談での対応に応じられていました。「緊急事態宣言中なので一律的に面談には応じない」とした説明にはそごがあります。
 区内事業者から出された要望内容は、特定要求などではなく、介護事業所において感染者を出さず尊厳ある介護を守るためPCR検査体制について、また、ワクチン接種希望者への支援策の求め等です。
 このような不誠実な対応が区の基本姿勢なのでしょうか。誠実に高齢者の命を守りたいと事業に臨んでいる介護事業者を見捨てるかのような行いは改善すべきだ、そうは考えないか。
 5月7日付提出された要望事項に対して、この場で誠実に回答するよう求めます。
 1、PCR検査を施設サービス、在宅サービスの利用者とそこで働く職員の希望者全員に無料で1週間に1回程度の定期検査を実施すること。
 2、PCR検査実施に当たっての費用補助は事業者が立替えてから支給される手続を改め、一時負担のないようにすること。そのためにも民間の検査機関に依頼するのではなく、区が独自で検査センター等を設置して検査を受けやすい体制にすること。
 3、ワクチン接種を希望する被介護者に対し、接種が受けられるように援助策を講じること、接種を強制しないこと、接種しない人を差別しないこと、本人同意を得て接種を行うことを要望する。


 9点目、区民に寄り添う生活保護行政の在り方についてです。
 コロナ禍中で衛生費など支出が増える中、生活保護受給者からの相談が増えています。個別の問題ではなく、足立区の生活保護行政の在り方が問われていると感じ、以下問います。
 北部福祉課に保護を受けたいと相談した方が、10万円の特別定額給付金を使い切ってから申請するようにと指導を受けたと受け止め、手持ち現金が3万円ほどしかない状態になっても必要な保護を申請できないことがありました。緑内障を患い、失明の危機にありながら、生活費を切り詰め、通院を控えざるを得ない、どうしたらよいかと相談を受けました。
 昨年、職員の誤認による保護打切り事件が起こり、足立区は処分を撤回し、謝罪したばかりにも関わらず、失明の危険がある人を通院できないまでに追い込む保護行政の在り方に強い疑問を感じます。相談を受けたため判明しましたが、こういった状況は氷山の一角ではないかと疑わざるを得ません。
 事実確認としては、この当事者の方が受け止めたように、「特別定額給付金を使い切ってから申請するように」と福祉事務所が説明したわけではなかったようですが、当事者と同行した後見人の2人ともが福祉事務所に相談した結果として、貯金が底をつかないと申請できないと受け止め、その考えに従わざるを得なかった事実はなかったことにはできません。今回のような事態を防ぐためにどうするか真摯に考えてほしいと思います。
 健康で文化的な生活を保障することは行政の責任であり、不適切事例を生まないように、全福祉課において申請希望者にどのような対応をされているのか、総点検すべきと思うがどうか。
 中部第二福祉課において、保護費の返還金額についての受給者からの求めを拒否する事例がありました。親の死亡に際し、過払い案件ですが、残された子どもは生活が苦しいから月々の返済額について相談に乗ってほしいと求めているにもかかわらず、他と比べて特別扱いできないと、一方的に区の都合を押し付ける対応はいかがなものか。当事者の個々の状況に寄り添わず、区民の声に耳を貸さない区の姿勢の現れではないか。
 そもそも、当事者に非はなく、コロナ禍で衛生費等支出も通常より増えざるを得ず、障がいの度合いも悪化する中、苦しいから助けてという当事者の声をなぜ受け止めないのか、こういった当事者に寄り添わない姿勢が昨年の生活保護打切り事件を招いたのではないか。
 困難を抱え、必死に生きている人に寄り添う個別対応をきちんと行うよう改めるべきだと思うがどうか。
 生活保護を最後のとりでと頼る人たちに、その境遇に想像力を働かせ、温かい姿勢で向き合ってほしいと求めます。


 最後に、「お互いさま」のフードロス対策についてです。
 食品ロスの推進に向けて取組が進められています。食品ロスはどこから発生しているか、食べ残しと未利用食品の割合など、正確な実態把握が効果的な対策のために必要です。
 区民や区内事業者の食品ロス削減の取組が数値に反映され、取組効果が目に見えることが対策のモチベーションにもなります。
 食べ残しを減らす工夫に加え、未利用食品が廃棄されずに必要な人の手に届く仕組みづくりが必要だと考えます。
 東京都の東京食品ロスゼロアクションパンフレットでは、食品ロスがなぜ発生するのか、食品流通過程における発生原因を紹介するとともに、食料を取り巻く問題点として、世界の飢餓人口8億人に対し食品13億tが廃棄されている実態も示し、様々な活動を提起しています。当区としても、多様な視点から対策して欲しいと考え、以下、伺います。
 区内食品ロス量の推計についての検討状況はどうか。
 当区のフードロス対策においても、SDGs第1番「貧困をなくそう」をきちんと位置付け、未利用で廃棄されている食品を必要とする人へ寄附できる仕組みづくりを推進して欲しいがどうか。
 足立区のいいところは下町人情だと、以前、決算特別委員会の質疑で、当時の副区長は答弁されました。フードロス対策など地域課題の解決に当たって、事業者に対しても「お互いさま」の下町人情の輪に加わってもらえるよう、区から積極的に働き掛け願いたいがどうか。
 多々、区民の方から相談、要望を受けた点について質問としました。共通するのは、区の対応力が問われている点だと思います。質問に対し、誠実な答弁を求め、この場での質問を終わります。

◎近藤やよい 区長  土屋のりこ議員の代表質問のうち、私からは、イレギュラーな業務が発生したときに、区が責任を持って公的事業を実施できるよう、必要な職員の増員、スキルアップや経験の蓄積こそ強く進めてほしいとの御質問にお答えをいたします。
 まず、イレギュラーな業務、今回のコロナ禍を通じて様々な判断を行い、経験を通じて新しい発見もございました。このような経験を通じたスキルアップや次世代についての蓄積については、きちっと反省すべき点は反省し、そしてまた、効果があった対応等についてもきちっと検証し、蓄積をしていきたいと考えております。
 一方、必要な職員の増員についてでございますが、今回のコロナ禍の対応も、私どもは区が責任を持って公的事業を実施できるようスキームを組んでございます。必ずしも直接的に事業を行うことが責任を持って公的事業を実施するということには当たらないと考えます。
 特に今回の場合、例えば、高齢者の方に対して7月までという期限が決められた中で接種をしていくという大命題もございます。区では、これまでも、医師会や病院とも友好な関係を築きながら個別接種にも御協力いただいてまいりましたが、現在、振り返ってみますと、やはり足立区の規模感を考えると、個別接種だけでは到底、スピード感を持っての接種は困難であったと考えておりますので、当然のことながら、いざというときに備えて諸団体と友好な関係を築くということは大命題ではございますけれども、それに併せて公的事業を区だけで実践するための必要な職員の増員というのは現在のところ考えてございません。
 ただ、保健師ですとか様々な需要に応じて、その時々に合った職員の構成というのは、常に私ども頭の中に置きながら対応しているところでございます。
 他の御質問につきましては、参与より答弁させていただきます。

◎勝田実 政策経営部長  私からは、初めに、区民の雇用を守る区政の在り方に関する御質問のうち、区民の税金を委託企業の利益とする構造から転換を図り、雇用を必要とする区民を区が直接雇うことで区民の暮らしの安定を図る役割を果たして欲しいとの御質問についてお答えいたします。
 事業委託は、事業効率の向上や費用対効果などの観点から導入を図っているものであり、決して区民の税金を委託企業の利益とすることを目的として行っているものでありません。
 また、会計年度任用職員として区民を直接雇用する事業もございますが、今回のコロナワクチン接種のように短期間で事業構築、実施していかなければならないような場合には、人員確保の観点からも委託による事業が最適だと考えております。
 次に、労働者協同組合法への理解増進に関する御質問のうち、まず、労働者協同組合について庁内横断的に労協法学習会を行ったらどうかとの御質問についてお答えいたします。
 労働者協同組合法につきましては、現在、厚生労働省のホームページにも、法律の概要資料等が掲載されているのみであり、具体的な情報が乏しいため、現段階では学習会を行う考え方はございませんが、今後、国や都から情報提供がありましたら、必要な情報共有を庁内で行ってまいります。
 次に、区としても区内団体個人等への支援体制を準備していってほしいがどうかとの御質問についてお答えいたします。
 労働者協同組合法につきましては、昨年12月に成立したばかりであり、厚生労働省も施行に向けて必要な情報を知らせていくとはしているものの、先ほどの御答弁のとおり具体的な情報は示されていない状況です。区としましては、国や都の動きを注視し、施行時に迅速に対応できるように努めてまいります。
 次に、これまではNPO法人格で区の指定管理や委託等を行ってきた事業者が、労働者協同組合に移行することで事業が継続できないような事態とならないよう、国や都と連携し、区もしっかり対応して欲しいとの御質問についてお答えいたします。
 区では、指定管理や委託等を通じて、多くのNPO法人に区の事業を担っていただいております。NPO法人が労働者協同組合に移行したとしても、引き続き区の事業を担っていただけるように、国や都からの情報を確認しつつ、しっかりと対応してまいります。
 次に、個人情報保護3法の統合と自治体の個人情報保護制度の共通ルール化に関する御質問のうち、個人情報事務は、自治体固有の自治事務であり、国による共通ルール化の強要はできないと考えるがどうかとの御質問にお答えいたします。
 近年の大規模災害や新型コロナウイルス感染症の対策などにおいて国家規模で迅速な対応を求められる中、各地方自治体によって個人情報の運用ルールが異なることが一部障壁となっております。
 今回の個人情報保護法改正に伴い、地方自治体の個人情報保護のルールにつきましては、原則、全国的に統一されることとなります。
 しかしながら、法律の範囲において、各自治体にも必要最小限の個人情報保護対策を追加することも認められる予定ですので、全面的な強要はできないものと考えております。
 次に、個人情報保護に自治体が責任を持つものとして規定している足立区個人情報保護条例の外部結合禁止の規定を廃止または規制緩和するべきではないと考えるがどうかとの御質問についてお答えいたします。
 区としましては、情報セキュリティーを含めた安全確保措置の在り方について、国が整備する法律施行令や個人情報保護委員会規則、ガイドライン等に基づき、足立区情報公開・個人情報保護審議会に諮問し、外部結合の安全対策について適切に管理をしてまいります。
 次に、匿名加工情報の提供について、当区としてしっかりとした検討と判断が必要と考えるが、区の見解はどうかとの御質問にお答えいたします。
 匿名加工情報の提供につきましては、今後、国や都から示される通知や資料などを確認するとともに、運用に当たりましては、足立区データ適正利活用推進会議において、学識経験者のアドバイスも受けながら適切に対応してまいります。
 次に、自治体業務システムの統一・標準化の義務化について一括してお答えいたします。
 国が示している17業務のうち、当区では、固定資産税と法人住民税を除く15業務が標準化の対象となり、標準仕様を満たすシステムの利用が法律で義務化されました。システムの標準化に際しては、業務プロセスの見直しを行うため、区独自の住民サービスについても見直しの対象となってまいります。
 区としましては、区の独自施策や大規模自治体ならではのサービスが継続できるように、国に対してシステム面、予算面で積極的に要望を行ってまいります。
 次に、国の個人情報保護法制に対し、自己情報のコントロール権など憲法13条に基づく個人データ保護の権利を保障する仕組みをつくることを強く要請すべきと考えるがどうかという御質問と足立区の個人情報保護条例を改正し、その仕組みをつくるべきと考えるがどうかという御質問に一括してお答えいたします。
 個人情報につきましては、現行の個人情報保護条例においても、改正後の個人情報保護法においても自己情報の開示請求によるアクセス権や訂正請求権、削除請求権が保障されております。また、匿名加工情報につきましては、個人が特定できない非個人情報となりますので、国への要請や区の条例改正は現在考えておりません。

◎松野美幸 総務部長  私からは、足立区LGBTガイドラインを改善すべきとの御質問についてお答えいたします。
 当事者団体から寄せられた提案につきましては、監修いただいた、「性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会」に御助言をいただきながら、一つ一つ確認し、現在、より正確で分かりやすい内容にすべく修正を進めております。
 当事者の声や思いをしっかりと受け止め、多くの方々の理解が得られるガイドラインとなるよう努めてまいります。

 

◎吉原治幸 総合防災対策室長  私からは、先進事例を高層マンション事業者へ紹介し、地域防災への協力を区として強力に求めてはどうかという御質問についてお答えいたします。
 集合住宅を計画する事業者へは、足立区集合住宅の建築及び管理に関する条例に基づき、水害時の一時避難施設として協定締結について協議を行い、御協力をお願いしています。しかしながら、セキュリティーや居住者の理解が得られないなどを理由に、残念ながら御協力をいただけない状況が続いております。
 今後は、協定締結に至っている千住一丁目地区市街地再開発組合を参考として紹介するなどし、事業者より地域防災について協力が得られるよう求めてまいります。

 

◎成井二三男 建築室長  私からは、新規高層マンションとの災害協定についての御質問のうち、地域防災力の高いマンションを評価できる仕組みをつくってはどうかとの御質問にお答えいたします。
 マンションと地域の連携、共助を進めていくことは重要な視点でありますので、地域防災力の高いマンションを評価できる仕組みづくりについて研究してまいります。
 また、企画段階から地域防災を考慮したマンションを企画開発するよう語り掛けてはどうかとの御質問でございますが、区の条例では、新築マンションの事業計画書を建築確認申請の少なくとも30日前までに区へ提出するよう義務付けております。
 今後は、区の窓口において事前相談が寄せられた時期を捉え、地域防災を考慮した企画開発を進めていただけるよう働き掛けに努めてまいります。

 

◎久米浩一 地域のちから推進部長  私からは、放課後児童支援員の処遇改善についてお答えいたします。
 まず、処遇改善等事業を実施していない理由につきましては、放課後児童支援員の処遇改善を段階的に実施しており、まずは学童保育室の質の確保を優先し、放課後児童支援員の有資格者に対する賃金改善が国の補助金の対象となるキャリアアップ処遇改善事業を優先的に推進しているためです。
 また、処遇改善等事業の今後の実施につきましては、国の補助金の支給要件が18時30分以降も開所していることであることから、特別延長保育を実施している学童保育室のニーズを踏まえて実施の検討をしてまいります。
 次に、学童支援員に対する奨学金返済補助や住宅借り上げ等の支援につきましては、学童保育室の運営に係る人員は充足していることから、現在のところ実施する予定はございません。

 

◎中村明慶 福祉部長  私からは、地域包括支援センターの相談受付体制の改善に関する御質問のうち、まず、業務委託の評価基準についてお答えいたします。
 地域の見守り活動の特性に応じて、アセスメントの実施状況や高齢者の見守りの体制づくりなどを多角的に評価する基準を設定しており、地域の見守り活動が軽視されるような評価基準とはなっておりません。しかしながら、センター職員ごとに個々の業務の習熟度や接遇などに差異が見られることから、引き続き不適切な事例に対しては改善を促し、適正な業務実施体制の確保に努めてまいります。また、評価基準につきましても、国や他区での基準を参考にして、不断の見直しを図ってまいります。
 次に、区として委託事業者が相談を行えるよう課題を把握し、環境改善に当たるべきとの御質問にお答えいたします。
 相談体制の充実のためには、まずは十分に受付できる人員体制が必要であり、各地域の高齢者人口などの規模に応じた職員体制で対応できるように委託契約を見直して対応してまいりました。これにより、センター全体で、令和3年6月の職員数は前年同月比で15名増となっております。今後も、各センターの課題を的確に捉え、区民の皆様が安心して暮らせるよう努めてまいります。
 次に、緊急事態宣言下における区民対応の御質問のうち、まず、協議の場を設けないという不誠実な対応が区の基本姿勢なのかについてお答えいたします。
 区の基本姿勢としては、感染防止に配慮した上で、できる限り協議の場を設けるよう努めております。しかしながら、緊急事態宣言下であったことに加え、御提示いただいた日時では都合がつかず、協議の場を設けることができませんでした。その際に、こちらから別の日程を御提示するなど丁寧さを欠いた対応となってしまったことについて、心よりおわび申し上げます。
 また、介護事業者を見捨てるかのような行いは改善すべきについてですが、事業者からの御要望については、個別には御回答しないこととなっておりますが、この点について明確に御説明していなかったことに対しましても、重ねておわびいたします。
 次に、5月7日付で提出された要望事項に対する御質問についてお答えいたします。
 PCR検査を施設サービス、在宅サービスの利用者と、そこで働く職員の希望者全員に無料で1週間に1回程度の定期検査を実施することについてですが、東京都や日本財団では、週1回程度無料で定期的なPCR検査を実施しております。
 また、区においても定期的に検査が行えるよう実施体制を考慮し、上半期で1人6回までPCR検査の費用助成を行っており、また、感染が確認された場合、濃厚接触はないものの、感染の不安がある方にも行政検査を実施しておりますので、御要望の1週間に1回程度の定期検査を行う考えはありません。
 次に、PCR検査実施に当たっての費用助成は、事業所が立替えてから支給される手続を改め、一時負担のないようにすることについてですが、事前の交付決定額と実績額に大きな乖離があり、返還金が発生する場合が多いことから立替払をお願いしております。

 

◎馬場優子 衛生部長  私からは、PCR検査を受けやすくするため、介護事業者が費用を立替えて行うのではなく、独自に検査センター等を設置するとの要望についてお答えいたします。
 今後、区が新たに民間の検査センターと同レベルの機能を有するためには多額の経費を要することから、現在のところ設置することは考えておりません。

 

◎絵野沢秀雄 新型コロナウイルスワクチン接種担当部長  私からは、被介護者へのワクチン接種に関する御質問についてお答えいたします。
 まず、ワクチン接種を希望する被介護者に対する援助策についてですが、多くの被介護者の方が入所されている高齢者施設における接種が円滑に進むよう、介護保険課と連携し、接種を希望する施設と接種を行う医療機関のマッチングを実施いたしました。今後は、被介護者への接種が進んでいくと考えております。
 次に、接種を強制しないこと及び本人同意を得ることについてですが、今回のワクチン接種は任意であり、接種の際には本人同意の確認のため、予診票への署名が必要となっております。また、接種しない人を差別しないことについては当然のことと考えております。

 

◎五十嵐隆 足立福祉事務所長  私からは、区民に寄り添う生活保護行政の在り方についてお答えいたします。
 まず、全福祉課において申請希望者にどのような対応がされているのか、総点検すべきとの御質問についてお答えいたします。
 生活保護相談は年間で1万件を超えるため、全てを点検することは日々の相談者への対応に影響が生じてしまうため困難です。しかしながら、福祉課における相談内容については、今後、各課相互に確認を行う取組を検討するほか、事例検討などを行い、相談者に寄り添う姿勢を徹底してまいります。
 次に、困難を抱え、必死に生きている人に寄り添うよう個別対応をきちんと行うよう改めるべきとの御質問についてお答えいたします。
 保護費の返還金については、生活保護受給者の状況に応じて相談をお受けし、生活の維持に支障のない範囲での分割納付を御案内させていただいております。分割納付の取組について改めて周知徹底を図るとともに、引き続き、困難を抱え、必死に生きている方に温かい姿勢で寄り添うよう個別対応に努めてまいります。

 

◎須藤純二 環境部長  私からは、「お互いさま」のフードロス対策についてお答えいたします。
 まず、区内食品ロス量の推計についての検討状況はどうかとの御質問ですが、現在、区内の食品ロスの実態を把握するため、3,000㎡以上の事業者に対して食品ロス量のアンケート調査を実施しております。7月中に集計がまとまる予定であり、この結果を基に区内の食品ロス量を推計してまいります。
 次に、区のフードロス対策においてもSDGs第1番「貧困をなくそう」をきちんと位置付け、未利用で廃棄されている食品を必要とする人へ寄附できる仕組みづくりを推進して欲しいとの御質問につきましては、区が現在行っているフードドライブは、寄附のあった未利用食品を区のNPO活動支援センター及びフードバンクを通して、子ども食堂やフードパントリー、NPO等に提供し、必要とする方に届けられており、貧困対策にもつながっております。今後策定する(仮称)足立区食品ロス削減推進計画を、SDGs第1番「貧困をなくそう」にも位置付けて、庁内連携を図りながらフードドライブの充実を図ってまいります。
 次に、フードロス対策など地域課題の解決に当たって、事業者に対しても「お互いさま」の下町人情の輪に加わってもらえるよう、区から積極的に働き掛け願いたいがどうかとの御質問についてですが、食品ロス対策は、各家庭と事業者の双方の取組が重要であると考えております。現在では、飲食店等の廃棄直前の食品と消費者とをマッチングするフードシェアリングサービス「TABETE」を展開しておりますが、今後も協働・協創推進課とも連携しながら、事業者への参加の働き掛けを進めてまいります。

◆土屋のりこ 議員  2点、再質問したいと思います。
 1つ目は、6番の学童保育についてなのですけれども、答弁の中では、住居借り上げ等をやらないということでおっしゃっていましたが、何らかの区独自の施策が必要なのではないかということを聞いていますので、その点での再答弁をお願いしたいということと、旧福祉事務所についてのところですが、相談窓口に相談した結果として医療機関の受診抑制に追い込まれた、この事実をどう再発防止するのかということで、対応実態を点検すべきではないのかということを聞いていますので、その点での再答弁をお願いしたいと思います。

◎久米浩一 地域のちから推進部長  御質問にありました学童支援に対する奨学金返済補助や住居借り上げ等の支援につきましては、先ほど答弁申したとおり、学童保育室の運営に関する人員は充足していることから、現在のところ実施する予定はございません。

◎五十嵐隆 足立福祉事務所長  相談者に寄り添う姿勢を徹底していくことで、そうしたことが二度とないように対応してまいります。

bottom of page